沈黙が営業を変える「間の取り方」

営業の現場でよく見かけるのが、「沈黙＝気まずい」と感じて、つい話し続けてしまうタイプの営業マンです。
けれど本当に信頼をつかむ人は、話すよりも「待つ」ことが上手い。
沈黙を恐れずに“間”を取れる人ほど、相手の心をつかみます。

そしてこの“間の技術”は、意外にもスナックで鍛えられるんです。

沈黙を恐れる営業は、信頼を逃している

スナックに通っていると、ママがふっと口を閉じる瞬間があります。
カウンターの向こうでグラスを磨きながら、相手の言葉をゆっくり噛みしめている。
その沈黙が、不思議と心地いい。

営業でも同じです。
お客が考えているとき、焦って言葉を足すと、本音を引き出すチャンスを逃します。
相手が沈黙している時間は、あなたの言葉を“咀嚼している時間”。
沈黙は、信頼が育つ“余白”なんです。

ママはお客の話を最後まで聞いたあと、すぐに返事をしません。
「そうねぇ……」と一拍おいて、笑顔で続ける。
その“間”に、相手は安心するんです。

沈黙は、考えているサイン。
そしてその沈黙を壊さずに待てる人は、「この人はちゃんと自分の話を受け止めてくれている」と信頼される。

私も営業の現場で、お客様が黙った瞬間に何かを言いたくなることがありました。
でも、スナックでママの間合いを見てからは、“沈黙こそが最高の相づち”だと気づいたんです。

一生懸命に説明して、沈黙がくると焦る。
それは「ちゃんと伝わっていないのでは？」という不安から生まれます。
でも、焦って言葉を重ねるほど、相手の考える余白を奪ってしまう。

営業で大切なのは、納得の“時間差”を許すこと。
説明した瞬間ではなく、沈黙の中で相手が「なるほど」と思うことが多い。
この間を作れるかどうかで、信頼の深さが変わります。

ママいわく、「いいお客さんは、無理にしゃべらない人」。
営業マンもまた、“余白を持てる人”が、結果を出せる人です。

沈黙は、ただの無音ではありません。
それは、相手が自分の言葉を考えている時間であり、その時間を尊重することが「敬意」につながる。

スナックでは、ママが黙っている間も空気が優しい。
それは、相手の心に耳を傾けているからです。
営業も同じ。話すタイミングを奪わず、相手の思考を待つことができる人は、信頼されます。

「沈黙＝無関心」ではなく、「沈黙＝尊重」。
この認識を変えるだけで、あなたの営業トークは劇的に変わります。

沈黙を味方につけるには、少しの意識で十分です。
スナックでも営業でも使える“間の取り方”を3つ紹介します。

① 相づちを減らす
「へぇ」「なるほど」を連発せず、相手の言葉の余韻を味わう。
その一呼吸が、相手に「聞いてくれている」と伝わります。

② 目線を外さず待つ
話の後、黙っても相手の目を見て微笑むだけで、安心感が生まれる。
言葉よりも表情が“共感”を伝えます。

③ 一呼吸おいて返す
質問されたときも、すぐ答えず「そうですね」と一拍置く。
この余白が、言葉に重みを与えます。

沈黙は、営業マンにとっての“間合い”です。
スナックで学んだ「話さない勇気」が、商談の空気を柔らかくする。
焦らず、待てる人ほど信頼されます。

話さずに伝わることがある。
言葉を使わない説得もある。
沈黙の中に、あなたの誠実さは必ずにじみ出ます。

スナックで覚えた“間の取り方”を、営業の現場に持ち帰ってみてください。
きっと、相手の反応が少しずつ変わっていくはずです。

次回は「スナックのママに学ぶ『初対面でも心をつかむ会話のコツ』」についてお話しします。