営業マンがスナックで鍛える「空気を読む技術」
営業において一番大切なのは「話す力」だと思われがちですが、実はそうではありません。
成果を出す営業ほど、“空気を読む力”に長けています。
そしてその感覚は、意外にもスナックという場所で鍛えられるんです。
25年間スナックに通い続けてきた私が実感しているのは、
スナックは「人と空気の交差点」だということ。
この空間で身につけた“空気読み力”こそ、営業の現場で最も役立つスキルのひとつです。
スナックは“空気”でできている
スナックには、会話よりも先に“空気”が存在します。
その日のママのテンション、常連の雰囲気、BGMの音量、照明の明るさ。
その全てが「場の温度」を作っています。
営業でも同じです。
お客さまの表情や声のトーン、机の上の書類の配置――
言葉に出ない情報こそが、本音を教えてくれることが多い。
スナックに通ううちに、私は“話す前に察する”ことの大切さを自然に学びました。
相手のテンションを察する力
ママはよくこう言います。
「今日はあの人、話したい日みたいね」
その一言で、私も空気のスイッチを切り替えるんです。
営業先でもまったく同じ。
お客が「相談したい日」なのか「説明を聞きたい日」なのか。
それを察するだけで、会話の方向性がまるで変わります。
テンションを感じ取るには、相手の“最初の3秒”に集中する。
声のトーン、動作の速さ、目線の動き――そこにヒントがあります。
場のリズムに合わせる柔軟性
スナックでは、会話のリズムがとても大事です。
テンポの速い夜もあれば、静かにお酒を味わう夜もある。
ママや常連たちは、空気を読み合いながらそのリズムを作っています。
営業でも、同じ「テンポ合わせ」が重要です。
相手が早口ならテンポを上げる。
ゆっくり話す人には、こちらもペースを落とす。
相手の呼吸に寄り添うことで、信頼が生まれます。
沈黙を怖がらない余裕
スナックでは、ときどき静まり返る瞬間があります。
テレビの音だけが響く中、ママがゆっくりグラスを磨く。
そんな時間が、妙に心地いい。
営業でも、「沈黙=悪」ではありません。
むしろ、相手が考えている時間を尊重することが“空気を読む”ということ。
焦って埋めるより、静かに待つほうが信頼される場面は多いです。
ママいわく、「沈黙は人間関係の呼吸みたいなもの」。
私もこの言葉を営業の現場で何度も思い出してきました。
相手の“変化”を見逃さない観察眼
スナックの常連さんでも、日によって雰囲気が違うことがあります。
言葉が少なかったり、笑顔が少し硬かったり。
ママはそうした小さな変化を見逃さず、そっと声をかけるんです。
営業でも同じです。
いつも元気なお客が、今日は少しトーンが低い。
そこに気づいて「何かありました?」と聞ける人こそ、信頼を勝ち取ります。
空気を読むとは、場の全体を感じることでもあり、相手一人を大切に見ることでもあるのです。
まとめ:空気を読むとは、相手を大切にすること
スナックで学んだことをひとことで言えば、「思いやり」です。
空気を読む力とは、相手の気持ちを想像し、尊重すること。
営業においても、その“人の温度”を感じる力が成果を左右します。
話す技術よりも、感じ取る力。
売る力よりも、寄り添う力。
スナックは、そんな人間関係の原点を教えてくれる場所です。
次回は「沈黙が営業を変える“間の取り方”」についてお話しします。